なぜ急増した?金密輸事件ー一般人も運び屋になっている

金の密輸アイキャッチ

みなさんは近年、金の密輸事件が増加しているのをご存知でしょうか?

今回は、貿易に関わるお話として密輸、とりわけ金(金塊・金地金)の密輸に関する話題をお届けしたいと思います。


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2014年以降増加の一途をたどる金地金の密輸事件

実は金を海外から輸入する際には、関税はかかりません。

しかし、海外から輸入する物品に対して、金額が20万円を超える場合には輸入消費税がかかってきます。

近年、金を購入するときに消費税がかからない香港で金を買い付け、日本に密輸する者が後を絶ちません。

現在、金地金の価格は1キロあたり500万円ほどになります。

本来であればきっちりと申告を行い、消費税率8%分にあたる、40万円の輸入消費税を払わなければなりません。

ところがうまく密輸に成功すれば、消費税分は丸々儲けとなるわけです。

みなさんがご存知の通り、以前は消費税率が5%でした。

2014年に消費税率が8%へとアップしてから、こういった金の密輸から得られるうま味が増えたため、2014年以降、日本への金の密輸の増加に歯止めがかかりません。

財務省がまとめたデータによると、2016年の金塊密輸事件の摘発件数は811件、金塊の押収量は2.8トンにのぼり、消費税率引き上げ前の2013年における年間12件の摘発件数と比較すると、実に67倍にもふくれ上がっています。

税関で密輸がバレた後はどうなる?

金塊の密輸を企て、日本入国時に税関で見つかった場合、その後どうなるかご存知ですか?

当然ですが、その場で一旦没収されます。

そして驚きなのですが、その後、なんと97%は密輸人に返却されているのです。

現在の法律では、上限1000万円の罰金に加え、本来支払うべき輸入消費税を支払えば金塊は密輸人に返却されるのです。

ところがこれまでお話してきたように、年々金塊の密輸件数が増え続け、密輸に歯止めがかからないことから、財務省では罰金の上限を、密輸した金の価格の5倍へと引き上げる方向で動いており、2018年3月からの実施をめざしています。

一般人が『運び屋』になっている

こうした密輸事件では当然、海外から金塊を日本に持ち込む『運び屋』が必要になります。

近年の金塊密輸事件の特徴としては、一般人が金塊の運び屋として使われていることです。

「旅行にいけるよ」と気軽に声を掛けられ、日本への旅行費用を出してもらう代わりに中身を知らない荷物を運ぶよう頼まれ、日本に入国する外国籍の人が後を絶ちません。

これとは別に、お金欲しさに一般の日本人がアルバイト感覚で1キロいくらで金塊を運ぶケースもあります。

まとめ

年々増え続ける金塊密輸事件についてお話してきましたが、2019年10月に消費税が10%に値上がりしました。

金塊密輸に対する罰金は高くなる方向ですが、さらなる消費税率アップによって金塊の密輸がさらに増加するのか、今後も気になるところです。


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