報復関税とは?ダンピング・貿易規制への対抗措置

報復関税アイキャッチ

2017年1月の就任以来、毎日のようにメディアに名前があがるアメリカのトランプ大統領。

そのトランプ大統領が就任直後からやり玉にあげているのが、アメリカのお隣の国メキシコとの貿易不均衡問題です。

今回は貿易関係に問題が生じたときに用いられることがある、『報復関税』についてお話をさせていただきたいと思います。


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なぜメキシコが攻撃されるのか

アメリカの隣に位置するメキシコには、アメリカをはじめ、世界のさまざまな国の製造業が安価な労働力を求めて工場を作り、その工場で生産した製品をメキシコから輸出しています。

トランプ大統領はアメリカの製造業の各企業がメキシコに工場を作り、アメリカで製品を生産しなくなったことで、多くのアメリカ人の雇用が奪われたうえ、安価な製品をアメリカが大量に購入し、大きな損失を被っていると主張しています。

その対抗措置として、メキシコから入ってくる物品に対し、高税率を課す、報復関税を発動すると言って話題になりました。

報復関税とは?

他国との貿易関係においてダンピングなどの不公正な取引を行った場合や、自国の輸出品に対して他国が不当に高い関税をかけた場合、または輸入規制など不利益になる措置を講じた場合などに、報復として相手国からの輸入品に対して一般税率以外に、貨物の課税価格の100パーセント以下の関税を課すことができるものです。

報復関税を発動させるためには、原則として、WTO(世界貿易機関)の承認を得なければなりません。

日本が過去に関わった報復関税事例

有名なものではアメリカとの間で長い間問題となっていたベアリング製品の問題や、中国との間では、日本がネギや生シイタケなどの品目に関してセーフガード(緊急輸入制限)を発動したことに対抗して、中国側が日本の自動車・携帯電話・エアコンの3品目に100パーセントの報復関税を課した案件などがあります。

報復関税を発動するとどうなるか?

報復関税を課すことによって、相手国側の輸出産業に打撃を与え、不均衡や違反の是正を促すきっかけにはなりますが、確実に是正されることを保証するものではありません。

また、一旦報復関税を課すことによって報復関税の応酬になる危険性もあり、輸出入が減少したり、停止してしまう可能性があります。

さらには、報復関税の対象となる品目を取り扱う企業や、それを利用しているエンドユーザーが不利益を被ってしまう危険性もあります。

まとめ

現在、世界全体がどんどん関税を撤廃していく方法で動いている一方で、アメリカはその流れに逆行するように保護貿易主義に傾いています。

エンドユーザーの目線としては商品を安い価格で購入したいというのが本音だと思いますので、報復関税が乱発されないような世界経済を望みたいですね。


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