たまに大きな貨物船が座礁したり、何か海難事故があったりすると、テレビのニュースなどで「パナマ船籍」という言葉を耳にすることはないでしょうか?
人間には国籍があるように、船には船の国籍である「船籍」というものがあります。
今回はこの「船籍」についてご紹介していきたいと思います。
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「船籍」とは?
簡単に言うと、船の国籍のことです。
船は一定の大きさ以上になると船籍の登録が義務付けられ、船籍を持たない船舶が国境を越えて往来することはできません。
また、船には登録した船籍の国の法律が適用されます。
船籍の取得は、周りに海がない国でも取得が可能となっており、スイスなどの内陸国でも自国船籍の船舶を保有しています。
日本の船会社の保有船腹量は世界2位
日本の貿易は、海上輸送・航空輸送のどちらかで行われていますが、重量別・金額別のどちらから見た場合でも、圧倒的に海上輸送で行われている量が多くなっています。
重量別の輸送量については、実に99%を海上輸送が占めています。
日本の貿易には船舶が無くてはならないものとなっていますが、国別に船の保有量を見ると、日本はギリシアに次いで世界で2番目に多い船腹量を誇ります。
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なぜパナマ船籍の船が多いのか?
日本の船会社は世界の中でも非常に多くの船舶を保有していますが、その船舶における船籍の多くは外国船籍となっており、その中でもパナマ船籍の割合が一番高く、二番目に多いのはリベリア船籍の船となっています。
パナマ船籍が多い理由の1つとして、パナマでは船舶に関わる税金を安く済ませることできる点があげられます。
また、簡単にペーパーカンパニーを作ることができるので、実際に事務所などの拠点を構える必要がなく、パナマの船籍だけを取得することが可能です。
そしてパナマ船籍が多い最大の理由は、船に乗り込む船員にかかる費用を抑えるためです。
日本を含めたほとんどの先進海運国では、自国船籍の船には、原則的に自国が承認する海技免状を持った船員の乗船を義務づけています。
しかし先進国の船員になると賃金水準が高くなってしまうため、船に乗り込む船員全員を賃金の高い人員でまかなうとなると、船の運航コストが非常に高くなってしまいます。
パナマでは船員の雇用に関する規制が緩やかで、賃金の安い、いろいろな国の船員を乗り込ませることが可能となっているので、運航コストを低く抑えられるというメリットがあるのです。
このように、船会社が自国で船籍を登録せず、船籍登録において有利な条件を持つ国に便宜的に船籍を移してしまうことを便宜置籍(べんぎちせき)といい、このような登録ができる国を便宜置籍国(べんぎちせきこく)といいます。
一方、パナマやリベリアなどの便宜置籍国では、世界中の大型船舶を登録、保有することで莫大な登録手数料を得られるというメリットがあります。
まとめ
日本に限らず世界の船会社が荷主を確保するための価格競争に負けないように争った結果、パナマ船籍の船舶が世界に溢れるような結果となりました。
近年ではカンボジアが便宜置籍国として台頭し始めていましたが、整備が十分行き届いていない船舶で国際航路に乗り出し、多くのトラブルを引き起こしていることで話題となりました。
カンボジアでは便宜置籍制度を撤廃する方向で動いているとのことです。
価格競争上致し方ない制度かもしれませんが、コストよりも安全を第一に優先してもらいたいものですよね。
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