貨物の効率的な輸出入になくてはならないのはコンテナ船になりますが、このコンテナ船が港を航行するときに非常に重要な役割を果たすのが「水先人(みずさきにん)」と呼ばれる職業の方々です。
今回は国際貿易を陰で支えている「水先人」の話題を取り上げていきたいと思います。
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「水先人」とは?
日本では「水先案内人(みずさきあんないにん)」と呼ばれることのほうが多いかもしれませんが、水先人とは、たくさんの船舶が行き交う港湾、河川、狭い水路を通航するときに実際に船に乗込み、安全に船舶が運航できるように導く案内人のことです。
特に、日本の港湾環境に精通することが困難な外航船や内航船の船長を補助するうえで非常に重要な役割を果たしています。
日本では水先区と呼ばれる、職務を行う区域ごとに国家資格である水先人免許が必要とされている職業です。
日本の水先区
水先人が業務を提供する水域を水先区と呼び、日本には水先人が港域や水域を案内する水先区が35か所あります。
水先区の中には「強制水先区」と呼ばれる区域があります。
強制水先区は、特に船舶が混雑し地形や水路が複雑で、気象や潮流の状況が厳しい港や水域となっており、海難事故の発生するおそれが高いため、水先法により一定基準以上の船舶に対して水先人の乗船が義務づけられています。
現在、日本では東京湾や関門をはじめ、11の強制水先区が設定されています。
水先人の仕事内容
水先人は船舶が港湾に近づいてくると、水先案内船と呼ばれる小型船で船舶に接近し、直接船舶へ乗船します。
水先人は船長に港湾や海域の情報や気象状況を伝え、目的地まで船が安全に航行できるように導きます。
名目上は船長が操船を指揮して、水先人は船長の操船を補佐することになっていますが、場合によっては水先人が操船命令を出すこともあります。
ただし、水先人が操船を指揮して万が一トラブルが発生した場合でも、責任は船長が負うことになっています。
水先人の国家資格免許
日本の水先人には免許の種類により業務を行える船舶に制限があります。
1級水先人 制限なし
2級水先人 5万トンまでの船舶(ただし危険物積載船は2万トンまで)
3級水先人 2万トンまでの船舶(ただし危険物積載船は不可)
水先人は5年ごとに免許の更新が必要となります。
日本の水先人になるまでの道のりは、受験資格を得るまでに膨大な時間と業務経験が必要とされており、誰でも気軽にできる仕事ではありません。
水先人は資格取得後、法律によって水先会という会に入ることが求められ、通常はどこかの会社には属さず、個人事業主として業務を行います。
水先人の収入についてですが、一般的に20代で約600万円、30代で約900万円、40代で約1500万円と言われていますが、個人事業主として活動しているため、これ以上稼いでいる方は結構いらっしゃるようです。
また、特に交通量が非常に多く、湾の出入り口が狭いことで船舶の航行が難しいと言われている東京湾の水先人の中には、年収が3000万円を超える方もいると言われています。
まとめ
今回は貿易を陰で支えている水先人についてお伝えしました。
年収は同じ年代に比べてかなりいいかも知れませんが、港湾内で事故が発生しないように船舶を誘導する仕事は大変神経をすり減らす仕事になるでしょうから相当大変な仕事であると思います。
また、近年では日本の水先人業界では高齢化と後継者不足が深刻化しており、今後の大きな課題と言われています。
一見目立たない仕事ではありますが、貿易を行っていくうえでは必須の存在ですので、日ごろから感謝しなくてはいけないお仕事ですよね。
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