本日は商品を海外から輸入する際に必要となってくる、通関手続きに関する話題、とりわけ、化学物質(危険物として取り扱われることが多いもの)を含む商品を輸入するときに必要な手続きについてお伝えしたいと思います。
そもそも通関手続きとは
通関とは、貿易において貨物を輸入または輸出しようとするときに、税関に対して商品名・数量・商品価格などに関する情報を申告し、検査を受けた後に、税関から輸入または輸出許可を受ける手続きのことを言います。
(輸入手続きの場合は関税の支払いが必要となります )
通関手続き業務
通関に関わる申告手続きは非常に複雑で、専門的な法律の知識も必要になってくるため、通常は通関業務を専門に行う通関業者に手数料を支払って、申告手続きの代行を依頼します。
僕が現在勤めている会社も、専門の通関業者に通関に関する業務をすべて委託しています。
通関時に行うこと
通常は商品が日本に到着する前に、商品ごとにどんな商品かがわかる画像と、商品名・数量・金額とともに、どんなことに使うものかを簡単に説明を入れた資料を事前に準備し、通関業者に提出します。
通関業者は、こちらが提出した資料をもとに通関手続きを進めていきます。
危険物の輸送方法、申告時に必要な手続き
通常の商品は航空機、コンテナ船どちらでも輸送できますし、通関手続きも比較的スムーズに済みます。
しかし危険物に該当し、化学物質を含む商品になりますと、航空機を利用した輸送が無理なケースが多く、コンテナ船での輸送が必要になります。
そして通関手続きのときには、どういった成分が含まれているのか明らかにする資料を提出する必要があります。
その際に提出する資料が、SDS(Safety Data Sheet)と呼ばれる安全データシートになります。
このSDSを、輸入を行う事前の段階でメーカーから取り寄せ、その他の通関に必要な書類と一緒に通関業者に提出し、通関手続きに備えます。
SDSとMSDSの違い
以前はMSDS(Material Safety Data Sheet)と呼ばれる、化学物質等安全データシートという名前の資料が用いられていました。
しかし2012年に国際基準に合わせる形で『SDS(Safety Data Sheet)安全データシート』に統一されました。
ただ実務の現場では5年経った今でも、未だにMSDSという名称が使われるケースが多いように感じます。
SDS 安全データシートがないとどうなるか
お恥ずかしい話ですが、以前危険物に該当する商品をコンテナ船で輸入したときに、うっかり事前にSDSを取得し忘れてしまうというミスをしでかしたことがあります。
その時にはコンテナの開扉検査(かいひけんさ)となり、余計な費用が発生したばかりか、通関の許可が出るまでに余分に時間がかかってしまい、大変な思いをしました。
それからというもの、僕は通関手続きの際には荷物が日本に到着するまでに、「すこしやり過ぎかな」というくらい十分事前に準備をするようにしました。
まとめ
最近は個人で海外から商品を購入する方も増えているかと思います。
今回は、商品を輸入する際には避けて通れない通関手続きのお話をさせていただきましたが、うっかり航空便で運べないようなものを買ってしまったりしないよう、事前に危険物に該当しないか十分に確認したうえで購入するようお気をつけください。
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