展示会・見本市/海外と日本における存在感と国際化の違い

展示会見本市アイキャッチ

2018年2月20日付けの日本経済新聞夕刊の3面に、『スイス時計見本市に転機』という見出しの記事が掲載されていました。

記事の概要は、世界最大級の時計と宝飾品の見本市である、スイスの「バーゼルワールド」に出展する企業数が、昨年の2017年比で約半減する見込みであるというものです。

今回はこちらの記事で話題になった、見本市や展示会について取り上げていきたいと思います。


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巨大化しすぎてしまったバーゼルワールド

バーゼルワールドは100年以上続いている伝統ある見本市で、かつては高級腕時計の新作がお披露目される場として格式が高く、高級感ある見本市というのが代名詞とされていた見本市でした。

あくまでバイヤー間の商談がメインの催しとなっているものの、一般の来場者も入場できるようになっており、近年ではイベントそのものが巨大化しすぎて、高級感が失われてきていることが問題になっていました。

そして一部の高級ブランドは、バーゼルワールドの高級感が薄れてきたこと、一般客も来場することによって、騒がしくて落ち着いて商談ができないといった事情から、新製品発表の場を別の見本市に移すといった動きを取り始めています。

今年はフランスのブランドであるエルメスがバーゼルワールドへの不参加を表明し、その代わりとして、スイスのジュネーブで1月15日~1月19日に開かれた「ジュネーブサロン」へ出展しました。

今年のバーゼルワールドは3月22日~3月27日の開催となりますが、例年よりも開催期間が2日短く、出展企業数の減少に合わせて、展示スペースも縮小されるとのことです。

バーゼルワールドへの出展費用は非常に高額であると言われており、ショーケース2つ分の出展で数百万円、メインの展示ブースへ出展する場合には数億円もかかると言われています。

各ブランドは、出展費用に対して出展効果が少ないことを嘆いている一方で、バーゼルワールドの主催者側は、「量よりも質を重視する」という方針へ切り替えた模様で、失われたイベントへのブランドイメージを守ろうとする動きがあったために出展者を絞り込んだとの見方もあるようです。

世界各地で開催されている見本市・展示会

ある特定の業界の企業が、1か所に一堂に会し、新製品や様々な商品を展示する催しを、日本では「見本市」と呼んだり、「展示会」と呼んでいます。

日本では見本市と展示会の境界線はあまりはっきりとしていませんが、英語では「trade show / trade fair」という名称と、単に「show」という名称の2つがあります。

前者は業界関係者のみの催しとなり、後者は一般の来場者も会場に入ることができる催しとされるのが一般的なようです。

世界各地で様々な見本市・展示会が毎日のように開催されているわけですが、展示会場室内展示面積で、世界における規模を見たときに、アメリカが世界一の規模を誇り、日本の約19倍、世界2位が中国で、日本の約13倍の規模になるそうです。

世界で開催される見本市・展示会には、世界各国から来場者が訪れるのが常識となっており、各催しを通じて、各社とも世界中にどんどん取り引きを広げています。


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内側ばかり向いている日本の見本市・展示会

日本の見本市・展示会は、日本国内向けの催しばかりで、非常に内向きなものとなっています。

僕の会社の業界で開催される展示会でも、主催者側は日本以外のことはほとんど考えていない印象を受けます。

出展する企業側も、たまに外国人の来場者が来て、英語で話しかけられる場面を目撃すると、みなさん逃げてしまう始末です。

毎年同じ時期に、同じような内容で何の工夫もなく、伝統儀式のように開催されているだけといった感じになってしまっています。

現に、僕の会社と取引きをしている海外取引先からは、今までは毎年、日本で展示会が開催される期間に来日して展示会の様子を見に来ていましたが、近年では全く来日しなくなってしまい、日本の代わりに中国で開催される展示会に出かけています。

東京モーターショーで海外勢が出展取りやめ

展示会見本市挿入

隔年で開催されている東京モーターショーでは、2017年にアメリカ、イギリス、イタリアの自動車メーカーが出展しないことが話題となりました。

ここにも世界の企業が、今後人口減によって経済規模の縮小が見込まれる日本マーケットを重要視していない現状が見えます。

まとめ

僕は定期的にアメリカを中心として海外の展示会に行く機会があります。

毎年行っている展示会であっても、その時々の世界の経済状況によって出展数に増減があったり、出展企業の顔ぶれが違ったりするものです。

しかし、いつどこに行っても共通していることは、世界のどこの国の企業ともビジネスをしてやろうという気概が感じられることです。

日本で開催される見本市・展示会も、もっと国際化を推し進めて、各出展企業は世界と取引きするのが世界のスタンダードであることを認識すべきではないでしょうか。


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