税関が事後調査にやってきたー対象期間・対策方法をご紹介

貿易関係の仕事に携わっていると、いつかは経験するのが税関による調査です。

先日、僕の会社も税関職員による事後調査を受けました。

本日は、税関の事後調査に関わるお話をさせていただきたいと思います。

税関事後調査とは

税関による「事後調査」とは、輸出入の通関後、輸出者または輸入者の事務所等を税関職員が個別に訪問を行い、輸出入に関わる帳簿や関係書類を調査することです。

事後調査の目的

輸入と輸出で調査の目的が異なってくるようですが、僕が従事しているのは輸入業務になりますので、以降、輸入に関わる事後調査についてお話を進めていきたいと思います。

事後調査の目的ですが、税関では輸入貨物に係る納税申告が適正に行われているかどうかを確認し、申告が適正に行われていなかった場合には、これを是正するとともに輸入者に対する適切な申告指導を行い、適正な課税を確保することを目的としています。

調査の対象期間

事後調査日からさかのぼって5年間（以前は3年間だったようです）

誤りが指摘された場合

調査の結果、申告内容に誤りがあった場合には税関によって適切な指導が行われます。

そして申告漏れがあった場合や納税額が不足していた場合には、修正申告を行い、過少申告加算税や無申告加算税などが課されます。

また申告において、意図的に申告額を少なくしていたり、隠ぺいなどが明らかな場合には重加算税が課されます。

事後調査でチェックされる主な書類

・売買契約書

・輸入許可書

・インボイス

・送金明細書等の帳簿

・その他Eメール　など

上記、各関係書類の保管期間については、帳簿類が7年間、輸入に関係する各書類が5年間、Eメールなどの電子取引の取引情報に係る電磁的記録が5年間保管する必要があります。

実際に経験した税関事後調査の流れ

①予告の電話連絡

本当に何の前触れもなく、突然電話がかかってきます。

たまたま僕が自分で税関からの電話を取ったのですが、率直に過去5年間分の輸入取引について調査させてほしいということ、２～3か月後に訪問したいということ、事前に関係する書類を準備してほしいことなどを電話で伝えられました。

調査の訪問日については、一旦電話を保留にし、すぐに社内で話をまとめ、日にちを相手に伝えました。

実際の日程は電話連絡があった日の約2か月後となりました。調査の実施は3日間に渡って行われることになりました。

②書面による正式連絡

電話による連絡があって、しばらく経ってから書面で事後調査に関する連絡が届きました。

書面の内容は、事後調査の目的や協力してほしいことが書いてあり、その他、調査実施日、担当税関職員の名前と、合計2名で訪問することなどが記載されていました。

③事前準備

調査の対象期間が5年間という長い期間ですので、この期間に行った輸入回数は相当な数にのぼります。

事前準備は約2週間前から始め、調査実施日に備えました。

④調査実施日

調査初日の午前10時頃に、2名の税関職員の方がいらっしゃいました。

軽く挨拶を済ませ、口頭で再度、調査の目的や調査の流れなどが説明されました。

説明が終わるとさっそく調査の開始です。

こちらが事前に用意しておいた書類のうち、優先的に輸入許可書に目を通し、その後でこちらで作成し、通関業者に提出している商品の金額などが記載されている書類に目を通しているようでした。

この作業をひたすら続け、ときどき書類に付せんが貼られていきます。

午後5時くらいになると作業は終了しました。

2日目も丸一日同じような作業で終了。

3日目の最終日は午後2時くらいまで同じ作業が行われ、その後税関職員の方に部屋に呼ばれました。

そしていくつか付せんが貼られている部分に対して質問をされたり、海外取引先への送金記録を見せたりしました。

調査結果

調査の結果、修正申告の必要も追徴課税もなく、無事に終了しました。

若干注意された点はありましたが、あくまで「今後の通関作業をスムーズに進めるためにも改善してほしい」といった内容で済みました。

僕が今年経験した事後調査では1回の訪問だけで終了しましたが、中には後日書類の提出が求められるなどの、宿題が課されるケースもあるそうです。

事後調査への備え

税関からの調査の依頼は本当に突然やってきます。

事後調査への備えとしては、当たり前のことですが、普段から適切な輸入申告を行うことや海外企業との取引・支払いに関する詳細な記録を残しておくことが必要です。

また、いつ税関の調査が入っても大丈夫なように、1回1回の輸入案件に関係する資料をきちんと整理して、誰が見てもわかるような状態で保管しておくことが重要になってくるかと思います。

まとめ

僕の会社では今年調査があったのでしばらくは調査に来ないことと思います。

普段からきちんと輸入に関わる書類を管理していないと、いざ5年間分の必要書類を揃えるだけでも一苦労になってしまい、時間も無駄になってしまいます。

輸入業務に携わっている方は、来るべきXデーに備えて、書類の整理はマメにされることをおすすめいたします。