多くの日本人にとって、フィリピンを訪れたときに困ることの一つとして、フィリピン国内での移動手段があげられるかと思います。
海外に出かけたときには現地でタクシーを利用することが多いと思いますが、フィリピンのタクシーは悪名が高いことで有名。
特に日本人はフィリピンのタクシードライバーにとって格好の餌食とされるケースが多いようです。
メーターを使わない、降車するときに乗車時の言い値よりも吹っ掛けてくるといったことは当たり前に行われています。
しかし、何かと移動手段に困るフィリピンでも、安心・安全に利用できる移動サービスがあるんです。
それは今や無くては困るほどの存在になっている、配車アプリサービスのGrab(グラブ)です。
スマートフォンさえあれば、Grabのアプリ1つでドライバーに迎えに来てもらい、目的地まで乗せてもらうことができます。
今回はフィリピンでの移動に欠かせない、Grabのサービスや利用方法について詳しくお伝えしてみたいと思います。
Grab(グラブ)とは?
マレーシア人の創業者、アンソニー・タンがマレーシアで始めた企業で、現在はシンガポールに本拠地を置いている配車サービスを中核としている会社です。
マレーシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシア、ミャンマー、カンボジアの8か国で配車サービスや配送サービス、その他にはフードデリバリーやGrab Payといった決済サービスまで手掛けています。
国にもよりますが、配車サービス1つを取っても、Grab Car、Grab Taxi、Grab Shareといった色々なサービス形態があります。
同業Uberの東南アジア撤退とGrabによる買収
現在フィリピンにおける配車サービスはGrab一強といった状態になっていますが、2018年途中までは同業のUberも配車サービスを展開していました。
僕は今ではGrab利用者となっていますが、実は以前はGrabよりもUberをメインで利用していました。
Uberは2018年3月に東南アジアの事業から撤退し、東南アジアにおけるサービスをGrabに売却すると発表しました。
インドネシアなどでは別の競合であるGOJEK(ゴジェック)といった企業がサービスを提供していますが、フィリピンにおいてはGrab一択という状況です。
Grabがフィリピンで提供している全サービス紹介
Grabでは配車サービスだけでも複数のサービスがあるうえ、配車サービス以外の事業も展開しています。
ここではGrabがフィリピンで提供している便利なサービスの数々をご紹介いたします。
Grabの配車サービス
Grab Taxi
メーターが付いているタクシーを配車してくれます。
普段は街中で流しをしている普通のタクシーがGrabに登録して営業しているイメージになります。
料金は降車時のタクシーメーターの料金が請求されます。
予約するときにブッキングフィーがかかります。
Grab Car
日本で言うところの白タクです。
Grabに登録した一般のドライバーが運転する車を配車してくれます。
タクシーよりもきれいな車が多いのが特徴です。
予約時に乗車料金が分かるので大変便利。
車種は主にセダン。
利用希望者の数や道路の混雑状況によっては「Rush hour rate」という通常の料金レートの1.5~2倍の割増料金がかかる場合があります。
Grab Car+
Grab Carの枝分かれサービスといった位置づけになります。
Grab Carがセダン中心なのに対して、Grab Car+ではトヨタのSUV車やハマーなどの上級車種になり、大人数でも乗車可能です。
Grab Share
目的地の方面が同じ人たちと乗り合いで利用します。
Grabの配車以外のサービス
Grab Express
書類や小包の荷物などをどこかに届けたいときに利用できるサービスです。
Grabのアプリで予約するとライダーが荷物を集荷に来てくれ、希望届け先まで配達してくれます。
現在、フィリピン国内におけるGrab Expressの利用可能エリアはメトロマニラ圏内とセブ市内のみです。
Grab Food
Grabのアプリを通してファストフードチェーンやレストランの食べ物を配達してもらえるサービスです。
2018年に始まった新しいサービスで、まだサービス提供エリアは限定されています。
配達には配達手数料が別途かかります。
GrabPay
Grabが提供するキャッシュレス決済サービスです。
Grabのアプリ上に、日本のPASMOやSuicaのように金額をチャージ(現地ではload・ロードと言います)して使う方法か、アプリ上にクレジットカードまたはデビットカードを登録して使う方法があります。
GrabPay経由で支払いをすると、「GrabRewards」というポイントがたまる仕組みになっています。
一定のポイントがたまると乗車割引や、ファストフード店の食べ物とポイントを交換できるといった特典があります。
(色々な特典があるGrabのポイントシステム「GrabRewards」について別記事で詳しくまとめました。『Grabポイント(GrabRewards)の貯め方・使い方|フィリピンで乗車割引クーポンを使ってみた』)
Grabの配車サービスのメリット
Grabは色々なサービスを展開していますが、フィリピンを観光などで訪れる日本人がGrabのアプリを使う場合にはGrab TaxiかGrab Carあたりの配車サービスがメインとなるでしょう。
Grabの配車サービスを使う上でのメリットをまとめてみました。
乗車前に料金が分かる。おおよその料金が把握できる。
フィリピンでは流しのタクシーは相当な確率でぼったくりに遭います。
Grab Carを利用すればアプリで予約する際にいくらかかるか分かるのでムダな心配をせずに済みます。
Grab Taxiの場合にも、おおよその料金が予約時に表示されるため安心です。
ドライバーの情報が分かる。
Grabのアプリでは車を予約するとドライバーの名前やこれまでの利用客による評価を知ることができます。
ドライバー側は乗車後に乗客から評価されるシステムになっているので、普通の流しのタクシードライバーのような悪い行為をすることはまずないでしょう。
目的地の説明をしなくていい。
通常のタクシーを利用するときには、目的地を明確に伝える必要があります。
ドライバーが目的地を知らなかった場合には相手に説明するのが大変な場合が多いと思いますが、Grabならばアプリ上で事前に目的地を指定できるので、ドライバーに説明する手間がかかりません。
マップ上で自分のいる位置が分かる。
Grabではアプリ上にマップが出てきます。
GPSで自分が目的地までどれくらいの距離か分かるので安心です。
キャッシュレス支払いができ、ポイントがたまる。
Grabではクレジットカードが利用できます。
最初にアプリ上でクレジットカードを登録し、GrabPayの利用開始をする手間がかかりますが、一度登録してしまえば現金を用意する必要もなく大変便利です。
またGrabPayを通して支払えばポイントもたまり、様々な割引を受けられるメリットもあります。
Grabの配車サービスの使い方(Grab Car)の使い方
ここではGrab Carの利用方法についてご紹介します。
ピックアップ場所と目的地を設定する
アプリをダウンロードし、アプリを起動すると以下の画面が出てきます。
配車サービスを利用するには「Car」をタップします。
すると地図が出てきます。
地図上の自分が立っているあたりにピンが表示されます。
①をタップしてPick up pointを指定します。
※迎えに来てほしい場所が、自分が立っている地点で問題がなければ特に指定しなくてもOKです。
次に②の「Enter destination」をタップすると以下の画面に変わるので、目的地を入力します。
目的地の名称の一部を入力すれば予測候補が出てくるので候補から選んで入力してもOKです。
車の予約をする
目的地を入力すると次の画面が出てきます。
①をタップすると、Grabが提供している各配車サービスごとの料金が表示されます。
ここではGrab Carを選択しています。
②では支払方法が表示されます。
③ではプロモコードがあれば割引などを受けることができます。
④のOptionsの部分をタップすると、ドライバーにメッセージを送ることができます。
⑤の部分に乗車料金が表示されます。
設定を確認して問題がなければ「Book」をタップします。
アプリ上でドライバーの検索が開始されます。
ドライバーが見つかると、ドライバーの顔写真とともにドライバーのこれまでの評価が星で表示され、車のナンバーと車種、車のカラーに関する情報が出てきます。
車の到着を待つ
車両を予約すると、①の部分に到着までのおおよその所要時間が出てきます。
今回の利用時には、先客が予約した車両に乗車しており、先に乗客を降ろすというアナウンスが出てきました。
ドライバーからメッセージが届いたり電話がかかってくることもあり
Grabを利用すると、たまにGrabのアプリを通してメッセージが届いたり、電話がかかってくることがあります。
今回は「数分で到着するよ」というメッセージが届きました。
ドライバーからの連絡は、あとどれくらいかかるか、今どこらへんか、またドライバーが乗客を発見できなかった場合にどこにいるのか聞いてくることがあります。
車に乗車する
車が到着したら車種、ナンバーなどを確認して車に乗り込みます。
Grabのドライバーもスマホでドライバー専用のアプリを使って仕事をしています。
ドライバーはアプリ上のカーナビに従って運転します。
目的地到着後、支払いを済ませ降車する
目的地に到着後、キャッシュの場合には運転手に料金を支払います。
GrabPayやクレジットカードでの支払方法を選択している場合にはすぐに降車します。
僕はクレジットカード払いにしているので、今回は63ポイントが加算されました。
最後にドライバーの評価をして終了となります。
Grabを使うときに気を付けるべきこと
スマホとGrabのアプリがあると本当に便利なのですが、利用する際にはいくつか注意しておきたい点がありますのでまとめておきます。
ラッシュアワー時に車が見つからないことがある
フィリピンのマニラ、特にマカティ周辺はラッシュアワー時にはひどい渋滞が発生します。
また特定の時間帯にGrabを利用したい人が集中すると、全くアプリ上で車が見つからないといった事態が発生します。
このような時には、周囲に同じくGrab待ちをしている人がたくさんいるケースが多いので、人が少ない場所に移動して再度ドライバー検索をしたほうがいいかもしれません。
アプリが日本語対応していない
英語が苦手な方にはちょっと厳しいのですが、Grabのアプリは全て英語表記になります。
機能だけでしたら直感的に利用できるくらい簡単なので、最初は英語が分かる人などに教えてもらいながら使い方を覚えてみてはいかがでしょうか。
クレジットカードの登録が日本国内でできない
Grabのサービスをより便利に使うためには、GrabPayを利用したほうがいいと思います。
特にクレジットカードを事前に登録しておけば、事前にお金をチャージする必要もありませんし、配車サービス利用時には特に何もせずに車から降りられるので大変便利です。
ところがGrabアプリ上のクレジットカードの登録は、日本国内では行うことができません。
これはGrabが日本でまだサービスの提供を行っていないためです。
クレジットカードを登録するためには、Grabがサービスを提供している国で登録を行う必要がありますのでご注意ください。
まとめ
Grabなどの配車アプリサービスは、実際に利用してみるとその便利さに非常に驚かされます。
配車アプリサービスさえあれば行動範囲も大きく広がりますので、何でこんなに便利なものが日本にないのだろうと感じてしまいます。
日本国内ではタクシー業界を守るために参入障壁を設けているのでしょうが、世界ではすでに新しいサービスやビジネスがどんどん先に進んでいます。
日本でも近い将来、配車アプリサービスが広まることと、今後のGrabの新たなサービスに期待してみたいと思います。
<Grabの利用には通信環境が必要>
Grabを利用するには、渡航先の現地でスマホが使える通信環境を確保することが条件になります。
SIMフリースマホをお持ちの場合、現地の空港などでSIMカードを購入すれば、スマホを使ってGrabを利用できます。
もし、お持ちのスマホがSIMフリーではない場合には、渡航前に日本でモバイルWiFiをレンタルして事前に準備するのが良いでしょう。
また、SIMフリースマホは持っているけど、語学力に自信がないから現地でSIMカードを購入するのは難しいという方にも、モバイルWiFiのレンタルをおすすめします。
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